回路設計者はここを目指せ!売れるスキルはこれ!
回路設計者が目指すべき仕事や技術・スキル(6選)について解説します。近年、技術が急速に変化するなか、市場から求められるには必要な技術を把握しスキルアップをすることが必要です。そしてこのことは、エンジニアとして価値や処遇を高めていくために必要な行動です。
今後も回路設計者が求められる技術・スキル
回路設計者が、今後も市場から求められる仕事や技術・スキルについて、関連する製品や背景も含め解説します。
1.高周波回路設計の技術・スキル
2.電源回路設計の技術・スキル
3.耐ノイズ・EMCの設計や対策の技術・スキル
4.FPGAのデジタル回路設計の技術・スキル
5.センシングに関する設計の技術・スキル
6.モータ制御設計の技術・スキル
高周波回路設計の技術・スキル
☞関係する主な製品
高周波回路は主に通信系の製品に多く使用される技術です。例えば有線・無線などの通信機器などの製品に使用されています。5Gの伝送装置や通信機器など、高速通信端末などでこの技術が必要となります。
5Gの基地局、スマホ、bluetooth端末などなど、また自動車などもアンテナ部品、ミリ波レーダーなど高周波回路を使用しています。
☞今後も市場から求められれる理由
情報通信の分野はいつの時代でも必要な技術です。そして、5Gや6Gへと通信技術が進歩すれば、これまで以上に高速でデータ通信が必要となり高周波の技術は必要となります。また、自動車の自動運転の技術においても通信や対物認識などで高周波回路は使用されています。
高周波回路が設計できる人材は不足しています。なぜなら高周波回路は非常に難易度が高いスキルだからです。習得していくには、アナログ設計をベースに多くの経験が必要です。このため高周波回路設計ができるエンジニアも少なく、この先も希少性の高いエンジニアと言えます。
☞関係する技術・知識
高周波回路設計は、分布定数回路の考え方、スミスチャートやSパラメータ、インピーダンスマッチングなどの知識を用いて設計を行います。理論を理解をしたうえで実務で多く設計をしていくことで習得することができます。つまり高周波設計者になるためには、多くの実務経験が必要となります。
☞知識習得に向けた参考情報
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電源回路設計の技術・スキル
☞関係する主な製品
電源回路は電気を使用する製品の全てに使用されています。家電や自動車、スマホから装置などなど、多くの製品で電源回路は必要です。
☞今後も市場から求められる理由
電源回路は電気を使用する製品にはいつでも必要です。今後も脱炭素(カーボンニュートラル)や省エネルギー化などで、電源の消費電力を少なくする技術やノウハウなど、多くの技術で電源回路の技術が必要となります。
また、自動車においても、今後はエンジンからモータなど電動化技術が進みます。これに必要なインバーターの技術に電源回路の技術が活用されています。
☞関係する技術・知識
電源回路は大きく分けて、2種類に大別できます。家庭用コンセントの交流100Vを直流に変換する回路など、比較的大きな電力を扱う電源回路。回路基板上で直流を直流へ(例えば直流24Vを直流3.3V)変換するなど、省電力を扱う電源回路があります。
電源でも求めらる性能として、非常に重要なのは効率です。電源の機能は、ある電圧からある電圧変換して出力します。その電圧変換時に発生する損失を少なくし、いかに高効率の電源回路を設計するかがキーとなります。
電源設計の方式はいろいろあります。そして、今の主流はスイッチング式の電源回路です。回路に必要なトランスやコイル、FETやトランジスタなどの選定や組み合わせ、基板の信号パターンの引き回しなど、様々な設計ノウハウが必要となります。
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現場で役立つ電源回路の基本と仕組み/清水暁生/野口卓朗/石川洋平
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耐ノイズ・EMCの設計、対策の技術・スキル
初めにEMCとは?とい方のために概要を説明します。
設計した製品や回路がノイズを出さないこと、ノイズの影響を受けて誤動作や破損したりしないようにする設計や対策のことをいいます。
ノイズを出さない技術 EMI
電子機器から発生する電磁波が他の電子機器に妨害を与える問題が起きます。このような妨害を電磁波妨害(EMI : Electromagnetic Interference)と呼びます。世界各国で、EMIに対して各種の規制を設けています。
ノイズの影響に関する技術 EMS
製品設計するうえで、その電子機器がどれだけ外部からのノイズに耐えられるかも重要です。そして、これをノイズ耐性(イミュニティ : Immunity)と呼びます。また、電子機器の電磁感受性(EMS: Electromagnetic Susceptibility) とも呼ばれます。
このEMIとEMSの技術を合わせてEMCといいます。
☞関係する主な製品
電気回路が実装されている製品のほぼ全てに必要な技術です。そして、製品を出荷するには、このEMCの基準を満足する必要があります。例えば、出荷した製品が発生する不要な電磁波が、他の医療機器などに影響を与えてご動作させることは許されません。
☞今後も市場から求めらる理由
EMCはいつの時代でも必要とされる技術です。なぜなら高速信号で動作する回路やモータを使用する製品は不要な強い電磁波を多く発生します。自動車の電動化や情報通信の高速化など、今後も増々このEMCの対策技術は必要となります。
また、特に人の手に触れる製品、医療機器、人の命に係る製品などは、特にEMCへの基準も厳しく、対策スキルやノウハウが必要となります。
☞関係する技術・知識
EMCにはEMIとEMSがありますが、この2つの技術に対して対応や対策する技術に設計段階の技術と製品の対策技術があります。また、EMCを実機で評価・試験する技術もあります。
◉設計段階の技術・知識
設計段階でノイズ対策を考慮した設計スキルも重要です。
例えば回路設計の段階で、高速信号ラインにダンピング抵抗を実装したり、外部信号を入出力するコネクタ付近にフィルタやバリスタ(ノイズ除去部品)を実装するなどです。
また、基板のアートワーク(パターン設計)でも、高速信号をグランドパターンでガードしたり、アナログパターンやデジタルパターンの分離、電源ラインの引回しなどの対策技術があります。最近はシュミレーションなど行い自動配線などでパターン設計をする技術も活用されています。
◉製品の対策技術・知識
回路を実装して製品として動作させたときの対策技術になります。この段階では回路や基板での対策は後戻りとなりコストや時間もかかります。つまり製品上で対策をすることが必要となります。ケーブの引回し方法を変更したり、ケーブルにコアを実装するなどの対策技術があります。
EMIなどでの対策では機械設計者と協働して、アルミや銅などでシールドしてノイズを抑える技術などもあります。これらの技術もやはり経験を重ねることでスキルが向上します。そして、対策と効果の確認の積み重ねがノウハウとなります。
◉評価・試験・測定技術・知識
耐ノイズやEMCには国際基準・規格や企業独自が定める基準・規格があります。このため測定方法や環境の条件が決められており、規格・基準に合わせ測定や試験を行う必要があります。測定・試験器の操作も合わせて実施する技術です。
また、耐ノイズの試験には雷試験、静電気試験などがあります。EMCにはEMI試験(電磁波妨害試験)とEMS(ノイズ耐性試験:イミュニティ)があります。
☞知識習得に向けた参考情報
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◆ノイズ、EMCの理解を深めるための記事(入門編)
◆EMC対策・ノイズ対策の総合情報サイト
◆高速・高周波時代のノイズ対策について解説
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FPGAのデジタル回路設計の技術・スキル
従来より回路設計者にとって、非常に有益なスキルであったFPGA設計は今後も市場性あるスキルです。
☞関連する製品
FPGAは必要な機能を実現するために、設計者プログラムやモデルなどで設計するデバイスなので、どの製品というよりは、回路全般で活用されています。
特化した機能や製品に自社の独自機能を設けたいときなどは、市販のデバイスでは機能が網羅できないためFPGAを活用したりします。
☞今後も市場から求めらる理由
FPGAは今後も製品の最近機能を満足する用途にも使用されます。例えば情報通信機器の5Gや6Gでのデータ伝送のデータ処理や、センサーやカメラなどを使用した機器の画像処理などにもFPGAは活用されています。
最近は画像認識などのAI機能もFPGAに組み込むことができるようになっています。年々開発ツールや機能も便利になり、VHDLやverilog言語以外にC言語やモデルベースでもFPGA設計が可能になり、開発効率も向上しています。
☞関連する技術・知識
FPGAを設計するには以下の基本知識が必要となります。
◉デジタル論理回路についての知識
AND、OR、NOT、フリップフロップなどの基本論理回路や、組み合わせ回路、順序(フリップフロップ)回路、同期式順序回路、非同期式順序回路、そして2進数、2進数演算などの基本的知識が必要です。
◉ハードウェア記述言語とのコーディング知識
論理回路を設計するためには、ハードウェア記述言語のコーディング能力が必要です。ハードウェア記述言語は通称 HDL (Hardware Description Language) と言われ、主に以下の3種類が使用されています。
1.VHDL(ブイエイチディーエル)
2.Verilog-HDL(ベリログ・エイチディーエル)
3.SystemVerilog(システム・ベリログ)
◉(静的)タイミング解析についての知識
タイミング解析は、作成した論理回路が要求するクロック周波数で正しく動作するかなど 、タイミング仕様を満足するかどうかを確認することです。解析手法のうち、ModelSim などのシミュレータを使い、入力信号データ(テスト・パターンあるいはテストベンチとも言います。)を用いて回路を疑似動作させるシミュレーションです。
また、静的タイミング解析はテスト・パターンを使用せず、ユーザーが設定したタイミング要求(制約)に対して解析(比較検証)する手法を “スタティック(静的な)タイミング解析” のことです。
☞知識習得に向けた参考情報
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◆FPGAの概要や開発に必要な情報を掲載
◆FPGAの開発フローの理解
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センシングに関する設計の技術・スキル
センシングとは、センサーと呼ばれる感知器などを使用して様々な情報を計測して数値化する技術の事です。例えば画像や映像を感知するイメージセンサー、音を感知する音響センサー、温度を感知する音響センサーなど、各種センサーが検知した電気信号を処理し、必要な機能を実現する技術です。
☞関連する製品
自動車の自動運転(ADAS)、工場の自動化、農業の自動化、遠隔医療、ARやVRなどなど、数多くの最先端技術にセンシング技術が必要です。
☞今後も市場から求められる理由
IOTにはセンシング技術を欠かすことができません。今後は5Gや6Gなど通信技術の進歩により、多くのデータ伝送が可能となります。そしてセンサーからの検知したデータを様々な機能やシステムに活用されるようになります。先に上げた製品や機能など、今後もセンシング技術は益々必要となります。
センシング技術には、各種センサー(デバイス)を使用した回路が必ず必要です。そして、各種センサーの特徴や仕様を理解し、必要な回路を設計するキルは今後も求めれる技術・スキルです。
☞関連する技術・知識
センシング回路の構成を以下に示します。回路の動作は、光や音などセンサー(デバイス)が検知し、電流値や電圧値として出力します。そして、この信号を検出回路で増幅したり電圧変換を行い、マイコンなどのデータ処理回路へ伝達します。マイコンはそのデータから光量や音量を把握し必要な処理を行います。
◉センシング回路の技術・知識
センサーの種類は数多く存在します。機能に合わせて必要なセンサーの選定し、センサーから出力される信号を増幅や電圧変換するなど、アナログ回路の設計スキルが必要です。また、微小な信号が出力されるセンサーなどは、フィルタやノイズ対策などの回路設計が必要となります。
また、データを処理するためにアナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換の知識や、マイコンへの信号接続など、マイコン回路の設計スキルも必要となります。
☞知識習得に向けた参考情報
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◆センサー回路の基本動作を理解するのに良い記事 by EDN
◆非常に用途が多いジャイロセンサーの活用方法を解説する記事 by EDN
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◆イメージセンサーの仕組みと最新技術を解説
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モータ制御設計の技術・スキル
今では各種様々な製品に使用せれています。モータには種類があり、製品の機能によって使用するモータは異なります。
☞関連する製品
モータの特徴や関連する製品を以下に示します。
◉直流(DC)ブラシ付きモータ
主な特徴:比較的安価で駆動も容易(簡単)であるため幅広い製品に使用されています。
関連製品:玩具(ラジコンカー等)、電動工具、車載電装品、etc..
◉直流(DC)ブラシレスモータ
主な特徴:ブラシ付きDCモータの弱点である整流子とブラシを取り除いた構造したモータです。そしてこの構造は、寿命やノイズ面で優れています。また、制御方式により効率化を実現できるため、省エネが求められる家電製品や、長時間駆動する産業分野に広く使用されています。
関連製品:家電(エアコン、洗濯機、冷蔵庫など)、電動工具、ロボット、コンプレッサ、HDD、車載電装品など。
◉交流(AC)モータ
主な特徴:誘導モータともいい、交流電源により駆動するモータです。構造がシンプルで壊れにくく、大電力でトルクの大きなモータを作りやすい。このため産業分野で良く使用されています。
関連製品:産業機器、工作機械など。
◉ステッッピングモータ
主な特徴:パルスモータともいい、デジタル入力によるパルス数により回転角度を制御します。そしてこのモータ回転角度などの高精度な制御が可能です。このため位置決めなど高精度が求めれられる機能を必要とする製品に使用されます。
関連製品:OA機器、カメラなどの精密機器、産業機器など。
☞今後も市場から求めらる理由
自動車業界の電動化(エンジンからモータへ)や工場の自動化による産業ロボットの増加など、今後もモータが必要な産業や製品の需要は伸びます。モータを制御するには、モータを駆動するドライブ回路や効率的に制御するための回路が必要です。そして、この技術やスキルの習得も多くの設計経験が必要で、今後も増々市場から必要とされます。
☞関連する技術・知識
このようにモータにはいくつか種類があります。そして、製品の機能や用途に合わせてモータは選定されます。回路設計者の仕事は主に、モータの選定、駆動するためのドライブ回路や速度や位置決めなどの制御回路の設計です。
◉モータの選定
モータを選定するときの要件や特性には、寿命、低速回転、高効率、コスト、位置決め精度、静粛性、トルク、形状などあります。製品の機能やモータに要求される要件を考慮しモータの選定を行います。また、モータの選定はモータが駆動する対象や構造の観点から機械設計者が選定する場合もあります。
◉ドライブ回路や位置決め制御回路
モータの種類によってドライブ回路は異なります。モータの種類に合わせてドライブ回路を設計します。設計するうえで以下の4つを考慮して設計をしていくことが求められます。
1.過度なノイズからの保護や過度な電流を流さないなどの信頼性設計
2.省電力や効率性を考慮した設計
3.モータ駆動時に発生する音(ノイズ)静粛性を考慮した設計
4.仕様の位置決めや速度を実現する制御設計
☞知識習得に向けた参考情報
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◆モータ制御の基礎知識をわかりやすく解説
◆自動車のEVに関するモータ制御に関する記事が満載
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まとめ
最新技術を常にウオッチし、設計者として必要な技術・知識を習得してくことが大切です。ここでご紹介した記事が皆さんのキャリアアップへ参考となれば幸いです。