★Engineer Lab★

電気自動車の動作原理(仕組み)と技術を解説!

電気自動車の動作原理(仕組み)と技術を解説!

電気自動車の基本構造と動作原理をわかりやすく解説します。近年、環境意識の高まりや技術の進歩により、電気自動車(EV)が急速に普及しています。電気自動車は、ガソリンエンジン車とは異なる動作原理を持ち、さまざまなメリットを提供しています。

本記事では、電気自動車がどのような仕組みで動いているのか、その基本的な機能や構造についてわかりやすく解説します。

電気自動車の基本構造と技術

電気自動車では、いくつかの主要なコンポーネントで構成されています。ここでは、代表的な6のコンポーネントを紹介します。それぞれが、どのように機能し、車両の動作を支えているのかを解説します。

バッテリー(電池)

電気自動車の「燃料」に相当する部分です。リチウムイオンバッテリーが一般的に使用されており、このバッテリーが車両全体に電力を供給します。

つまり、バッテリーの容量が大きいほど、一度の充電で走行できる距離(航続距離)が長くなります。

電動モーター

電気自動車の動力源となる部品です。電動モーターは、バッテリーから供給された電力を使って回転し、車輪を動かします。

ガソリンエンジンと異なり、電動モーターは非常にシンプルで効率的に動作します。また、トルクの立ち上がりが早いため、スムーズな加速が可能です。

インバーター

バッテリーから供給される直流電流(DC)を、モーターが利用できる交流電流(AC)に変換する装置です。電気自動車では、モーターは交流電流で動作するため、インバーターが必要となります。インバーターは、モーターの回転数やトルクを調整する役割も担っています。

バッテリーマネジメントシステム(BMS)

バッテリーの状態を監視・管理するシステムです。BMSは、バッテリーの温度、充電・放電の状態、セル間のバランスなどをリアルタイムで監視します。バッテリーが常に最適な状態で動作するように調整します。これにより、バッテリーの寿命を延ばし、安全性を確保します。

減速機(ギアボックス)

多くの電気自動車では、単速の減速機が使用されています。これは、モーターからの高速回転を車輪に適した速度に変換する装置です。ガソリン車のように複数のギアを持つトランスミッションは一般的に使用されませんが、一部の高性能車では、より複雑なギアボックスが搭載されることもあります。

車両制御ユニット(VCU)

車両全体の制御を司るコンピュータです。電源制御ユニットは、アクセルペダルやブレーキペダルの操作、車両の速度、バッテリーの状態などを監視し、モーターやバッテリーを制御します。電源制御ユニットが正確に作動することで、快適で安全なドライブが実現します。

電気自動車の動作原理

ここでは、電気自動車の基本的な動作を以下の①~⑤に整理しお伝えします。

電力供給

バッテリーに蓄えられた電力が、インバーターを通じて電動モーターに供給されます。この電力供給の過程で、インバーターが直流電流を交流電流に変換します。

モーター駆動

電動モーターは供給された電力を使って回転を始めます。この回転が減速機を介して車輪に伝わり、車両が前進または後退します。電動モーターは非常に高効率で、低速から高トルクを発生させることができます。

加速と減速

アクセルペダルを踏むと、車両制御ユニットがアクセルの開度に応じてモーターの出力を制御し車両が加速します。

一方、ブレーキペダルを踏むと、ブレーキシステムが作動すると同時に、モーターが逆回転して車両を減速させます。このとき、モーターが発電機として働き、回生ブレーキとして電力をバッテリーに戻すことができます。

回生ブレーキ

電気自動車特有の機能である回生ブレーキは、ブレーキング時にモーターを利用して車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、バッテリーに充電する仕組みです。これにより、効率的にエネルギーを再利用でき、航続距離を延ばすことができます。

バッテリーの充電

電気自動車は外部の充電ステーションや家庭用電源を使用してバッテリーを充電します。充電は、バッテリーに直接電力を供給するために専用の充電器が使われます。DC急速充電器の場合は、直接バッテリーに電力を供給することができます。

電気自動車のメリットと課題

電気自動車が提供するメリットと、それに伴う課題について解説します。

メリットについて

環境に優しい

電気自動車は走行中に排出ガスを発生させないため、温室効果ガスの削減に貢献します。また、再生可能エネルギーで発電された電力を使用することで、さらなる環境負荷の軽減が期待できます。

低コストの維持

ガソリン車と比較して、電気自動車はエネルギーコストが低いです。このため、メンテナンス費用も少なくて済みます。これは、エンジンオイル交換や排気システムのメンテナンスが不要なためです。

静かな走行

電動モーターはガソリンエンジンよりも静かに動作します。そして、快適で静かなドライブが楽しめます。

課題について

充電インフラの整備

航続距離の問題を解消するためには、充電インフラの整備が必要です。特に長距離ドライブにおいては、充電ステーションの利用可能性が重要要素となります。

バッテリーの寿命とコスト

バッテリーは電気自動車の最も高価なコンポーネントです。その寿命が車両の寿命に大きく影響します。近年、寿命やコストの問題は改善されていますが、依然として課題となっています。

航続距離の制限

ガソリン車と比べて航続距離が短いことが、電気自動車のデメリットの一つです。しかし、バッテリー技術の進歩や回生ブレーキの利用により、航続距離は徐々に延びています。

まとめ

電気自動車は、バッテリー、電動モーター、インバーター、バッテリーマネジメントシステム(BMS)、減速機、車両制御ユニット(VCU)といった主要なコンポーネントが連携して動作しています。

これらの技術により、電気自動車は効率的かつ環境に優しい移動手段として注目されています。課題もありますが、技術の進歩とともに電気自動車は今後さらに普及し、私たちの移動のあり方を変えていくでしょう。

<お勧め動画>

自動車の電動化(EV化)!ソフト設計者に必要なスキルとは?

自動車の電動化(EV化)!機械設計者に必要なスキルとは?

自動車の電動化(EV化)!回路設計者に必要なスキルとは?