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機械設計エンジニアを目指す人へ!必要なスキルと習得方法!

機械設計エンジニアを目指している人へ、ここでは仕事のイメージや設計者に必要なスキルや情報など、出来るだけシンプルにわかりやすく解説します。

機械設計の技術スキル

モノの形状や機械を動かす仕組み(メカニズム)を考え設計をする仕事です。

設計の仕事は多種多様です。設計する製品によって、必要な技術知識やスキルが異なります。腕時計の様な精密製品から飛行機やプラント設備などの大型製品まで、使用する技術知識とスキルは異なります。

しかしながら、機械設計者が製品を設計するうえで必要な基本知識は同じす。その知識を抑えていれば、あとは製品の知識を理解しながら経験を重ね設計者としてスキルアップをしていくことが可能です。

■機械設計に必要な基本知識

このブログでは、機械設計に必要な以下5つの基本的な技術知識について紹介します。

1.力学の知識

2.製図の知識

3.材料の知識

4.機械工作の知識

5.機械要素の知識

本知識は機械設計エンジニアになるためのベースとなる技術知識です。しっかり習得をしておきましょう。

1.力学の知識(4力学の知識)

「材料力学」「機械力学」「流体力学」「熱力学」つの力学は、機械設計を行う上で不可欠な知識です。これら4力にプラスして設計・加工やその他専門性を身に付けることが機械設計には必要となります.

材料力学

材料力学は機械や構造物の各部に生じる内力や変形の状態を解析するなど、強度のある頑丈な製品を設計するときは、この知識が必要です。

機械力学

機械力学は機械の稼働時に生ずる問題などで、物体の釣合い状態などの静力学と物体の軌跡・速度・加速度などの時間などの幾何学的な動力学などがあります。機械を動かすメカニカルな設計には、この知識が必要です。

流体力学

流体力学は空気や水など、流体が運動してつくられる「流れ」を物理学や工学から仕組みを考えます。例えば空調、配管、タービン、バルブなど、水や空気などの流体が流れる製品の設計にはこの知識が必要です。

熱力学

熱力学には熱エネルギーに関する事など、熱力学第1法則や熱力学第2法則があります。例えば空調やエンジンなど、熱が発生する製品にはこの知識が必要です。

2.製図の知識

量産品である製品や部品は、「図面」をもとに製作されます。そして、製図は機械設計にとって基本中の基本の知識です。

機械設計者は「図面」において、「どのような部品」なのか、部品に対する自身の考えを明示します。

そして図面には、その製品を作るためのすべての要素を記載します。つまり、その図面を見れば、どのような製品を作ればよいのかがわかる必要があります。

どのような材料を使って、どう加工し、どれ位の公差に収め、どのように仕上げたいのか、作業に関わる人へ正確に伝えます。

また「図面」は、生産委託などする場合は、「どのような部品であればよいか」という、部品という商品に関する「仕様書」「契約書」でもあります。

一般的に、図面には以下の様な内容を記載する必要があります。

製品の寸法と許容範囲

設計意図を正しく反映した製品を作るため、材質と形状と寸法に加えて、許容範囲を保証するための情報を図面に記す必要があります。

幾何公差

幾何特性は物の形・大きさ・位置関係などを指します。部品や製品を製造する時に、実際の形状が幾何特性についてどのくらい許容できるかなど、ばらつきの範囲を示します。

表面粗さ

表面粗は、部品などを機械加工した表面の状態(粗さ)を規定するものです。例えば切削や研削により加工された表面には微細な凹凸がでます。

部品の材質

図面には必ずその部品の材質(材料)を明記します。 用途や使用目的を考慮して材料を選定・指定し、表面処理や熱処理が必要な場合は仕様を図面に明記します。

図面の尺度や投影法

尺度は図面を描く際に決まった図枠サイズ内に対象物を収めるために使用します。大きな対象物は縮小し、小さな対象物は拡大して作図します。そして、尺度には現尺倍尺縮尺があます。

投影法は、立体を図面という1枚の平面上に,正確に表現する方法です。その原理は、投影面の前に物体を置き、これに光線を当てその投影面に映る品物の影を映しとるというものです。そして、投影法には第三角法等角投影斜投影透視投影などがあります。

上記のように製図には作成するためのルール(基準)があります。図面を作成する人と見る人が共通の認識を持てるようにしたものが規格であり、日本の機械製図の場合はJIS規格となります。

3.材料の知識

機械設計者は設計する製品や部品の用途や目的から材料を選ぶ必要があります。そして、設計要求から材料選定を行い設計をしていきます。

例えば、ある程度の衝突や落下では壊れない製品には、強度のある材料を使用しますし、高温の場所に設置される製品には、高温に耐えられる材質を使用します。

設計者は製品の仕様から材料の以下の特性を考慮し材料の選定を行っていきます。

機械的特性

材料の強度・剛性・弾性・靭性・重量・非強度・非剛性・摩耗性・寿命などです。

物理的特性

材料の光沢・色・密度・融点・沸点・密度などです。

化学的特性

材料の一般耐食性、耐薬品性、電食性、応力腐食、膨潤、耐紫外線などです。

熱的特性

材料の耐熱性・熱伝導性・断熱性・体積膨張性・変態点・寸法安定性などです。

電気的特性

材料の電気伝導性・帯電性・磁性などです。                               

上記の特性を考慮し必要な材料を選定をしていきますが、生産性やコストなども考えて最終的に適材を決定します。

4.機械工作の知識

機械系設計者は、モノを作りだすこと(製品化)を目的に仕事をします。機械工作はそのために必要な技術知識の1つです。

製品を特有な形にするために、様々な方法で材料の形を変えるなど、モノ作りにかかせない技術です。

自転車・自動車・航空機・電車・船・テレビ・電話・冷蔵庫・洗濯機・パソコンあらゆる製品には、数多くの機械部品が使用されていますが、一つ一つの部品はには様々な作り方(これを機械工作法と呼びます)があります。

ここでは、代表的な機械工作法を以下にご紹介します。

鍛造

金属材料を金型(ハンマー等)で叩いて圧力を加えて変形させる手法。昔からある刃物や武具、金物などの製造技法です。

機械加工

工作機械(刃物工具)を使用して金属や樹脂を加工する手法です。例えば工作機械には、旋盤・フライス盤・ボール盤・研磨機・NC工作機械・マシニングセンタなどがあります。

射出成形

プラスチック素材を熱で溶かし、金型に流し込んで成形する手法です。

鋳造

作りたい形と同じ形の空洞部を持つ型に、溶けた金属を流し込み、 それを冷やして固める手法です。

ダイカスト成形

溶けたアルミ合金やマグネシウム合金を金型に流し込んで冷やして固めるという手法です。精密で複雑な形にする時に活用する製法です。

プレス加工

加工材料を金型に挟み込み、加工機で荷重による圧力を加えることで材料を金型の形に変形させる加工方法です。

機械設計者は製品の構造や機能を考慮し、これらの機械工作の知識を使用し設計を行っていきます。

5.機械要素の知識

機械要素の知識は機械設計を行う上で非常に重要な知識です。機械要素は製品を構成する基本部品であり、規格や製造メーカの仕様により決まっています。

私たちの身の回りにある製品や設備には、様々な機械要素が使用されています。

例えば、部品と部品をつないだりするもの、力を伝達したり変換させたりするもの、動力を制御や振動させたりするものなど、製品は様々な機械要素部品を組み合わせて造られています。

機械要素は以下のように分類されます。

締結・結合機械要素

部品をつないだり、止めたりするもの。例えば、ボルト(ねじ)、ワッシャー、スプライン、ピン、止め輪、キーなど。

動力伝達機械要素

力を伝達したり、方向を変換したりするもの。例えば、歯車、カム、チェーン、油圧のシリンダーなど。

運動変換機械要素

運動(エネルギー)を変換したりするもの。例えば、リンク・カム・クランクなど。

緩衝、制動用機械要素

動力を制動したり、衝撃を緩衝したりするもの。例えば、ばね、ダンパ、ブレーキなど。

流体伝道機械要素

油、水などの流体やガスや空気などの気体を流したり、動力や運動エネルギーを伝えるもの。例えば、管(パイプ)、管継手、バルブなど。

潤滑機械要素

運きを滑らかにするもの。例えば、軸受(ベアリング)など。

密封機械要素

液体や気体などの漏れや進入を防ぐもの。例えば、Oリング、オイルシールなど。

機械設計者は製品の構造や機能を考慮し、これら機械要素の部品を選定し設計します。

まとめ

機械設計の仕事は多種多様です。設計する製品によって必要な技術知識やスキルが異なり、設計者には製品知識も含め幅広い知識が必要となります。ここでご紹介したベースとなる技術知識を習得し業務経験を重ねることで、エンジニアとして成長することができます。

また、機械設計エンジニアは最新技術の動向や関連知識を常にリサーチし、必要に応じて学んでいくことも必要です。エンジニアの情報収集のためのサイトを以下にご紹介します。

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