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自動車の電動化(EV化)!機械設計者に必要なスキルとは?

自動車の電動化(EV化)!機械設計者に必要なスキルとは?

自動車の電動化(EV化)が加速しています。機械設計者にどの様な技術やスキルが必要となるのか、本ブログでご紹介します。機械設計者としてキャリアアップの参考になれば幸いです。

目次

自動車の電動化(EV化)とは?

自動車の電動化とは、エンジンなどの燃料を燃焼させる内燃機関を使用せずに、電気モーターや電池などの電気を利用して車を動かす技術のことです。

電動化の代表的な技術には、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、そして燃料電池自動車(FCV)などがあります。

これらの車は、一般的なガソリン車に比べて、エネルギーの効率が高く、排出ガスが少ないため、環境に優しく、持続可能な移動手段として注目されています。電気自動車などの新しい技術が登場することで、今後ますます進化することが期待されています。

自動車の電動化に必要な技術とは?

ここでは、自動車の電動化に向けて必要となる主な技術を紹介します。

☞電池技術

自動車を動かすために必要な高効率で高出力なモーターが必要とされます。また、小型化や軽量化などの改善も求められます。モータとモータを駆動する技術が必要となります。

☞充電技術

電気自動車などは充電が必要なため、高速で充電できる充電器の開発が求められます。また、急速充電に伴う電池の劣化問題の解決が必要です。電池を充電する技術が必要となります。

☞制御技術

エンジンの代わりにモーターを使用することで、車の制御が複雑化します。そのため、高度な制御技術が必要とされます。モータを制御する技術が必要となります。

☞車両設計技術

電動化によって、車両の構造や設計にも変化が生じます。例えば、バッテリーの搭載場所や車重の増加などです。そのため、新しい車両設計技術が必要とされます。

機械設計者が必要となる設計知識は?

ここでは、自動車の電動化において機械設計者が必要となる主な技術や知識を紹介します。

☞モーターの理解

電気自動車では、モーターが駆動力源として使用されます。このため、機械設計者はモーター種類、構造、特性など、理解を深める必要があります。

☞ギアやトランスミッションの設計

電気自動車では、モーターの回転力を駆動輪まで伝達するために、ギアやトランスミッションが使用されます。このため、機械設計者は、これら機械部品の設計について理解を深める必要があります。

☞自動車の電動化の車体設計

電気自動車の車体は従来のガソリン車と異なる部分があります。このため、機械設計者は車体の設計についても理解を深める必要があります。

☞自動車の電動化の冷却設計

電気自動車では、モーターやバッテリーなどの電子部品が発熱するため、適切な冷却システムが必要とされます。機械設計者は、冷却設計について理解を深める必要があります。

☞車両の安全性設計

電気自動車の場合、バッテリーが高電圧であるため、車両の安全性設計が重要です。機械設計者は、車両の安全性について理解を深め、適切な設計を行う必要があります。

モーター制御技術で機械設計者に必要なスキル

ここでは電気自動車用モーター制御技術において、機械設計者が必要となるスキルや知識について説明します。

☞モータの特性理解

機械設計者は、モーターの特性を理解することが重要です。特に、電気自動車用モーターの場合、高効率でありながら高出力を実現するために、高い磁場密度を実現する技術が用いられます。

機械設計者は、このようなモーターの設計について理解を深める必要があります。

☞モーターと制御回路の統合設計

電気自動車用モーター制御は、モーターと制御回路が密接に関連しています。機械設計者は、モーターと制御回路を統合的に設計する必要があります。

☞モーターの冷却設計

電気自動車用モーターは、高い電力密度を実現するために、発熱が激しくなります。そのため、適切な冷却設計が必要です。機械設計者は、モーターの冷却設計について理解を深め、適切な設計を行う必要があります。

☞モーターの信頼性評価

電気自動車用モーターは、車両の駆動力源として重要な役割を果たします。そのため、高い信頼性が求められます。機械設計者は、モーターの信頼性評価について理解を深め、適切な設計を行う必要があります。

☞制御回路のシミュレーション

電気自動車用モーター制御においては、制御回路のシミュレーションが必要です。そのため、機械設計者は、制御回路のシミュレーションについて理解を深め、制御回路を含めた統合的な設計を行う必要があります。

自動車の電動化で車体設計に必要なスキル

☞バッテリーの重量と配置

電気自動車の最も重要な部分の1つであるバッテリーは大きく重いため、車体の設計に重要な影響を与えます。

車体に取り付ける場合、車両の重心が高くなり、乗り心地や安定性に影響を与える可能性があります。そのため、バッテリーの重量配分や車両のバランスを考慮して車体の設計を行う必要があります。

☞モーターの配置

電気自動車は、モーターの効率と駆動性を最適化するために、車輪に直接取り付けられたモーターを採用することが一般的です。

これにより、車輪に直接力が伝達されるため、効率的な走行が可能になります。しかし、モーターの配置によって、車体のデザインやサイズに影響を与えるため、車体設計者は、モーターの位置を決定する際にも注意を払う必要があります。

☞エアロダイナミクス

電気自動車は、一般的に空気抵抗を減らすためにデザインされています。空気抵抗を減らすことで、走行距離を延ばし、バッテリーの持続時間を向上させることができます。そのため、車体設計者は、風洞実験や流体解析を用いて、車両のエアロダイナミクスを最適化する必要があります。

※エアロダイナミクス:空気の流れが物体におよぼす影響をあつかう流体力学の一種。 自動車の場合は、走行する際に影響を受ける空気の流れ(空気抵抗) 

☞クラッシュ安全性

電気自動車は、バッテリーの重量や位置などの理由から、従来のガソリン車とは異なるクラッシュ安全性を持っています。そのため、バッテリーの位置や構造などを考慮して、クラッシュテストを合格するように車体を設計する必要があります。

自動車の電動化で冷却設計に必要なスキル

電気自動車用モーターは、高い電力密度を実現するために、発熱が激しくなります。そのため、適切な冷却設計が必要です。機械設計者は、モーターの冷却設計について理解を深め、適切な設計を行う必要があります。

電気自動車用モーターは、高い電力密度を実現するために、高効率でかつ大きなトルクを発生する必要があります。

しかし、モーターが高い電力を消費することで発熱が生じ、それがモーターの効率低下や部品の劣化、熱による電子部品の故障などにつながります。そのため、適切な冷却設計が必要です。

モーターの冷却設計には、モーターの形状、回転数、使用環境などに合わせた最適な冷却方法が求められます。代表的な冷却方法には、風冷式、水冷式、オイル冷却式があります。

☞風冷式

モーター周囲にファンやダクトを設置して、空気を循環させることで冷却する方法です。モーターに直接風を当てるため、効率的に熱を逃がすことができます。

☞水冷式

モーターに流体を通じて熱を奪う方法です。冷却効率が高く、一定の温度を維持しやすいため、高出力のモーターに適しています。

☞オイル冷却式

モーターの回転部分に油を循環させることで熱を逃がす方法です。回転部分の摩擦も低減されます。

冷却システムの設計には、モーターの形状や材質、使用環境に合わせた最適な冷却方法の選択、冷却媒体の選定、冷却媒体の循環システムの構築、温度センサーの設置などが必要となります。これらの要素を適切に設計することで、モーターの効率性能を維持しながら、過熱や故障を防止することができます。

機械設計者に必要となる基本的な設計知識は?

自動車の電動化に対応するために機械設計者に必要な技術やスキルを紹介しました。ここでは、関連するモータの制御技術、車体設計、冷却設計を習得するために必要となる基本知識について紹介します。

☞自動車の電動化でモーター制御技術の基本知識

電気回路の基礎知識

モーター制御に必要な電気回路の基礎知識が必要です。回路の電気的特性や回路要素の役割について理解し、回路を設計できるようになることが重要です。

モーターの基本知識:

電気自動車用モーターの種類や特性、効率などの基本的な知識が必要です。モーターの機能や性能について理解し、モーターの設計や制御に必要な知識を習得することが大切です。

制御回路の知識:

モーターの制御に必要な制御回路の基礎知識が必要です。モータードライバーや制御回路の種類や特性、制御アルゴリズムなどについて理解し、制御回路を設計できるようになることが重要です。

熱設計の知識:

電気自動車用モーターは発熱が激しいため、適切な熱設計が必要です。熱伝導や冷却方法、材料の選定などについて理解し、モーターの熱設計を行うことが重要です。

CADやCAEソフトの基本的な使用方法:

機械設計者は、設計図面を作成するためにCADソフトを使用することが一般的です。また、CAEソフトを使用して、モーターや制御回路の性能評価を行うこともあります。基本的なソフトウェアの操作方法について理解し、効果的に活用することが必要です。

☞自動車の電動化で車体設計の基本知識

構造力学と材料力学:

車体の強度や剛性、挙動、材料の強さや特性を理解することが重要です。

CAD/CAM技術:

コンピュータの支援設計や支援製造技術による設計や製造プロセスの理解が必要です。

熱伝導・熱設計:

バッテリーとモーターの発熱を考慮して車体の冷却設計を行うため、熱伝導や熱設計に関する知識が必要です。

液体力学:

クーリングシステムの設計に必要な知識です。

車両安全性:

車体の設計においては、安全性に関する法規制に基づいた設計や試験が必要です。衝突安全性、乗員保護、車両の安定性や操縦性に関する知識が必要です。

自動車の電気制御技術:

電気自動車には多くの電気制御システムが含まれます。これらの制御システムについて理解する必要があります。

生産技術:

車体の製造に必要な生産技術に関する知識が必要です。生産性やコスト、製造プロセスなどについて理解することが重要です。

☞自動車の電動化で冷却設計の基本知識

熱力学の基礎知識

電気自動車のモーターや電子部品は発熱するため、熱力学の基礎知識が必要です。そのため、機械設計者は、熱の発生・伝導・放出に関する知識を理解する必要があります。

冷却方法の選択:

機械設計者は、電気自動車のモーターや電子部品を冷却する方法を選択する必要があります。例えば、風冷式、水冷式、油冷式などの冷却方法があります。

冷却システムの設計:

選択した冷却方法に応じて、適切な冷却システムを設計する必要があります。そのため、機械設計者は、冷却システムの設計に必要な要素を把握し、設計する能力が求められます。例えば、冷却材の流路、ポンプ、ファン、ヒートシンク、放熱板、ラジエーターなどがあります。

材料の選択:

冷却システムの材料選択は、性能や信頼性に大きな影響を与えます。このため、機械設計者は、耐熱性、導熱性、耐腐食性、寿命などの材料特性を理解し、適切な材料を選択する必要があります。

冷却システムの性能評価

機械設計者は、冷却システムの性能評価を行う必要があります。評価には、シミュレーションツールや実験による評価があります。冷却システムの設計においては、性能の予測や改善策の検討が必要となるため、評価能力が求められます。

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まとめ

自動車の電動化に機械設計者に必要な技術知識は非常に幅広です。どの様な技術(知識)が必要であるかを理解し、自分に不足している技術知識を学び、スキルアップに繋げてください。