回路設計エンジニアを目指す人へ!基本的な知識と学び方
電気回路設計エンジニア(ハードウェア設計)を目指している人へ。ここでは回路設計に必要な基本的な知識を出来るだけシンプルに解説します。参考になれば幸いです。
回路設計のスキル
回路設計に必要なスキルは大きくアナログ回路、デジタル回路に分類されます。そして、今は多くの製品にデジタル回路やアナログ回路が混在しています。回路設計者はどちらも必要なスキルと言えます。
ここでは、各回路設計に必要な基本的な知識や学び方について解説します。
アナログ回路の基本知識
◉アナログ信号波形とは?
アナログ信号波形とはリニアに変化する信号波形のことをいいます。そして、この信号波形を処理する回路がアナログ回路となります。
アナログ回路設計には電気部品の基礎知識が必要となります。電気部品である抵抗、コンデンサ、コイル、ダイオード、トランジスタ、FET、オペアンプなどの特徴や特性、用途を理解をし、目的の機能や動作を実現するため必要な部品を組み合わせて回路を設計していきます。
◉アナログ回路の学び方
アナログ回路は先に説明した電気部品の特性を理解をすることから始めることをおすすめします。電気部品の組み合わせにより、様々な動作(機能)を実現する回路を設計します。
ここでは、アナログ回路の代表的な動作(機能)を紹介します。
☞電気信号を増大や減少させる
電気信号を大きくしたり小さくしたりします。例えばセンサーなどから抽出できる信号は電気的に非常に小さな信号なので、増幅回路で信号を大きくして処理をします。
☞電力を増幅させる
電力を増幅して、大きな電力が必要なモノを動作させます。例えばスピーカで大きな音をだす、電気自動車などのモータを駆動するためには大きな電力が必要になるので、アンプ回路などを使用し電力を増幅します。
☞信号をフィルタする
必要な信号を通過、不要な信号を除去します。ノイズなどの不要な信号を除去したり、必要な信号だけ通過させたりします。
例えばラジオなどはチャンネル毎に周波数が異なります。フィルタを使用して必要なチャンネルの周波数の信号を通過させる回路を使用します。
☞信号を変調や復調する
放送や無線通信では、信号をもっと高い周波数の波に乗せて、電波で送っています。信号を電波で伝送しやすくするために信号の周波数を変えることを「変調」といいます。そして、変調された信号を元の周波数の信号に戻すのが「復調」です。
この様に必要な動作や機能に合わせて、電気部品を使用して回路を設計していきます。各機能を実現するための基本回路があるので、基本回路の動作を理解して応用をしていくことで回路設計の知識は向上をしていきます。
◉目指したい設計スキル
アナログ回路設計者にとって、高周波回路、無線回路、電源回路などの設計は、非常に難易度が高く市場性の高い設計スキルと言えます。これらの設計は職人の域で、設計経験の積み重ねにより習得をしていくことが必要です。
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デジタル回路の基本知識
◉デジタル信号波形とは?
1と0の2値で表現される信号波形をいいます。そして、この信号波形を処理する回路がデジタル回路となります。
1と0の電気信号により論理演算、相互変換、 蓄積及び伝達などの処理を行う回路。1と0の2値を使用した論理演算を行いながら、目的の用途(演算結果)に合った回路を設計していきます。
◉デジタル回路の学び方
デジタル回路の知識を習得するには、デジタル信号の考え方やその特徴、論理演算などの知識が必要となります。以下に示すデジタル回路の特徴を理解をし、段階的に必要な知識を学ぶことをおすすめします。
☞論理演算をさせる
デジタル回路は論理演算を行い論理回路とも呼ばれます。そして論理回路の基本要素はAND回路、OR回路、NOT回路の3種類など。その組み合わせで様々な機能の回路が作成できます。
☞信号を相互変換する
アナログ信号をデジタル信号へ変換したり、デジタル信号をアナログ信号へ変換します。直列(シリアル)のデジタル信号から並列(パラレル)のデジタル信号へ変換したり、その逆の変換も行います。そしてこの信号変換のことをAD変換やDA変換と呼びます。
☞データを蓄積する
デジタル信号(2値:”1”や”0”)の連続値に意味を持たせてデータとして蓄積します。メモリ(記憶用半導体)にデータを蓄積することで様々な動作を実現できます。そして4つの信号のかたまりを4ビットデータ、8つの信号の固まりを8ビットデータとして扱います。
☞信号を伝送する
デジタル信号は効率的に高速で伝送することができます。また、デジタル信号は”1”や”0”の2値で判定しているため、ノイズなどの影響を受けにくく、高速に伝送することができます。
音声などのアナログ信号をデジタル信号に変換して高速に伝送することで、電話などで世界中の人と遅延が少なく会話がきるようになりました。
◉目指したい設計スキル
デジタル回路設計者の代表的なスキルに、マイコン回路設計、FPGAなどの論理回路や演算回路設計が上げられます。
FPGAはVHDLやVerilogなどのプログラムを使用して回路設計を行います。プログラムで回路を設計する場合も、デジタル信号の論理・演算回路の知識が必要です。プログラムにより複雑で高度な演算処理が可能となり、様々な回路で活用されています。
マイコンは、テレビや冷蔵庫などの家電や自動車など、様々な製品で使用されているキーとなるデバイスです。現在では64bitや32bitが主流(高機能なマイコンほどbit数は大きくなります)となっています。マイコンの構造や機能を理解して、回路が実現したい機能によって必要なマイコンを選定し使用します。
まとめ
回路設計エンジニアになるためには、基礎知識の理解が必要です。その上で業務経験を重ね段階的にスキルアップをしていくことが近道です。
また、回路設計エンジニアは最新技術の動向や関連知識を常にリサーチし、最新の回路やデバイス情報などを収集し学んでいくことが大切です。